ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(一柳米来留〈ひとつやなぎ めれる〉)は、滋賀県近江八幡市に英語教師として来日後、近江八幡市を拠点として活動し、全国に多数のヴォーリズ建築を残しました。
近江八幡市名誉市民第1号に選ばれており、近江八幡市内には多数のヴォーリズ建築と関連する施設があります。
グーグルマップでの一覧と説明を書いたので、ヴォーリズ建築巡りの参考にしてください。一般住宅もあります。見学は住民の方のご迷惑にならないようにお願いします。
近江八幡市内 ヴォーリズ建築および関連施設
地図一覧(グーグルマップ)
滋賀県近江八幡市内にあるヴォーリズ建築とヴォーリズ関連施設のグーグルマップです。各場所の簡単な説明は次項以降に書いています。
各場所の説明
1.五葉館
ヴォーリズ記念病院の奥にある旧近江療養院の結核患者の療養施設。 大正7年(1918年)建築。中央の共有スペースから5方向に部屋が作ってある面白い形状。
2.ツッカーハウス(旧近江サナトリアム)
結核患者の療養などを目的とし、ツッカー女史の寄付によって建設された施設。大正7年(1918年)建築。ヴォーリズ記念病院の敷地内にあります。
老朽化で取り壊し予定となっていたが、反対運動により市民グループで保存中。一般公開のために耐震工事を予定しており、資金の一部としてクラウドファンディングを実施(2021年)。

支援特典で近江八幡市内のヴォーリズ施設を案内していただきました。
3.礼拝堂
ツッカーハウス裏に建つ施設。昭和12年(1937年)建築。現在も使われています。この建物の横を通り抜けると五葉館に出られます。
4.クラブハリエ日牟禮館(旧忠田氏邸)
日牟禮八幡宮境内にあるバームクーヘンが人気のクラブハリエ日牟禮館。その奥に、ヴォーリズ建築だった旧忠田氏邸を改装した日牟禮カフェがあります。
左の建物には特別室が4室あり、前日までに予約をすると1人500円(税込)で利用可能です。
- 予約受付: 0748-33-9995
ヴォーリズ建築内 特別室(公式HP)

5.ヴォーリズと少女の像
次項の「近江兄弟社メンターム資料館」の向かい側にある銅像。ヴォーリズさんに少女が花を渡そうとしています。いつ行ってもその時々の花を持っていて和まされます。
6.近江兄弟社 メンターム資料館
近江兄弟社は、メンタームなどのスキンケア商品を製造販売する医薬品メーカーです。キリスト教伝道のための経済的基盤を築くために「ヴォーリズ合名会社」を設立したのが始まり。本社の一階に小さな資料館があり、無料で見学できます(会社営業日の 9~17時:臨時休館有り)。看板代わりにメンタームを抱える「飛び出し坊や・とび太くん」が立ってます。
ちなみに、メンタームと似た名前でメンソレータムという商品がありますが、こちらはロート製薬です。元々は近江兄弟社がメンソレータムを出していましたが、1974年に一度経営破綻し、販売権を失いました。
大鵬薬品工業の支援を得て再建する中で、略称として商標登録していた「メンターム」で再度商品化したという経緯があります。
7.ハイド記念館
元々、ヴォーリズ夫人・一柳満喜子さんが大正9(1920)年に幼児を預かる施設として使われていた施設。建物内では幼児向け施設としての工夫が各所に見られます。
メンソレータムの創業者 A・A・ハイド氏・夫人の寄付により建設されたためハイド記念館と呼ばれています。ヘレン・ケラーが来校し、公演をされたこともあるようです。
一般公開されていて見学可能です(平日のみ、料金無料)。どこから入るのかは謎です。
8.ヴォーリズ学園
保育園・幼稚園から高校まで。ただし小学校は少し離れた別の場所にあり、数年後に休校となることが決まってます。
卒業生の有名人
- 乾友紀子(アーティスチックスイミング選手)
- 伊藤みき(フリースタイルモーグル選手)
- 福永祐一(騎手)
- 三和英樹(競輪選手)
- 平松隆円(競輪選手)
- 松居一代(タレント)
- 天華えま(宝塚歌劇団星組)
9.ヴォーリズ記念館
昭和7年(1932年)建築のヴォーリズ氏の自邸。見学可能ですが、事前予約が必要です(電話:0748-32-2456)。
- 入館時間:10:00~16:00
- 休館日:月曜日、祝日、その他不定休
- 入館料:400円(高校生以下は無料)
- 駐車場:有(3台)
10.村岡邸(旧岩瀬医院)
右の方には日本家屋があり、この建物と繋がっている面白い設計。一般の住宅なので見学は外観のみ。
11.旧八幡郵便局
旧市街に建つ旧八幡郵便局。建築は、大正10(1921)年。内部を見学可能(無料)。2階に上がることもできます。
- 営業時間:11時~17時
- 閉館日:土日祝など不定休
12.アンドリュース記念館
ヴォーリズ建築最初の建物である「アンドリュース記念近江八幡基督教青年会館(YMCA)」(明治40(1907)年建築)を移築・再建築された建物。昭和10(1935)年建築。
- 春と秋に特別公開(有料)
以前は2Fに「Going Nuts!(ゴーイングナッツ)」というお店が入ってましたが、すぐ横の「まちや倶楽部」内に移転されました。
13.八幡商業高等学校
1905年にヴォーリズがアメリカから来日して赴任した学校。その後はすったもんだあったものの、本館は1940年にヴォーリズの設計で建築された建物(竣工:昭和15年(1940年))。
卒業生の有名人
- 則本昂大(プロ野球選手)
- 宇野宗佑(元総理大臣)
- 塚本幸一(ワコール創業者)
- 伊藤忠兵衛 (二代)(伊藤忠財閥の2代目当主)
学校と言えば、定番ロケ地となっている豊郷小学校旧校舎群も有名ですね。

14.池田町洋風住宅街
近江八幡市池田町にヴォーリズ建築が立ち並んでいる一角があり、池田町洋風住宅街と呼ばれています。普段は非公開なので外観しか見られませんが、ウォーターハウス記念館は定期的に公開イベントが行われています(次項)。
- ダブルハウス 佐藤氏邸
- ダブルハウス 諸川氏邸
- ウォーターハウス記念館
- 吉田悦蔵氏邸
15.ウォーターハウス記念館
池田町洋風住宅街(ヴォーリズ建築群)にある建物の一つです。現在は修繕されて春と秋の年に2回、期間限定で公開されています(有料)。ガイド付きの見学ツアーが実施されることもあります。
ヴォーリズの考え抜かれた設計思想が随所に見られる面白い建物です。外観での特徴で注目されることが多いヴォーリズ建築ですが、実は内装の細かい気遣いが素晴らしいです。ヴォーリズ建築が現在でも愛されている理由を垣間見れます。

16.吉田悦蔵氏邸
写真はヴォーリズの教え子だった吉田悦蔵氏の住宅。ヴォーリズとともに、建築設計事務所・メンソレータム・病院・学校などを運営する近江兄弟社を創設。
17.前田家住宅(旧佐藤久勝氏邸)
ヴォーリズ建築事務所の佐藤久勝氏が、自邸として設計。屋根・煙突・門などが国登録有形文化財となっている昭和6年(1931年)建造の建物。
吉川晃司出演の「探偵・由利麟太郎」第2話『憑かれた女』でロケ地として使われました。

18.十人十家(旧パーミリー邸)
2019年に売りに出ていた家屋。地元の建築デザイナー・田中涼さんが購入してリフォーム。ビフォーアフターが上の写真。
十人十家(Cafe&Bar)として営業されています。

19.旧伊庭家住宅
安土町にあるヴォーリズ建築。大正2年(1913年)建築の木造住宅。発注者は別子銅山煙害問題を解決し住友家第二代総理時にもなった『伊庭貞剛』。居住者は4男で、八幡商業高校の美術教師、安土村村長、沙沙貴神社宮司などを勤めた『伊庭慎吉』。
この建物を有名にしたのが、京アニ制作の「中二病でも恋がしたい!」でモデルとして使われたことです。外観だけでなく内部もほぼそのまま描かれているようです。他にも、ドラマなどでロケ地として使われています。
- 営業時間:10時~16時
- 料金:無料(できれば運営協力金を)
- 開館日:木曜、金曜、土曜、日曜、祝日と予約のみ開館、1月、2月は、土・日・祝日、予約のみ開館
- 電話番号:0748-46-6324
- 駐車場:無し(沙沙貴神社に駐車可)
ボランティア団体「オレガノ」が運営しており、メンバーによる案内もしていただけます。
20.近江八幡市立 郷土資料館
旧市街の新町通りにある建物です。市営小幡観光駐車場からすぐ近く。元々は近江八幡警察署として使われていた建物でヴォーリズ建築です。
- 料金:一般300円、小中学生150円
- 開館時間:9:00~16:30(入館16:00)
- 休館日:月曜日(月曜が休日の場合、その翌日)、祝日の翌日、年末年始
※5月、6月、10月、11月は無休

「近江八幡おもてなしパスポート」というお得な観光パスポートの対象施設となっています。

コメント