『むべなるかな』とは、「いかにももっともなことであるなあ」という意味で使われる言葉です。
植物・果実に「むべ」というものがあります。「むべ」は、ムベ(郁子、薁)とも書き、アケビ科の植物です。秋には5~7cmほどの赤紫の果実となる日本の伝統的な果樹です。
ムベが、何故そんな名前になったのかという伝説は、滋賀県近江八幡市にあります。
そんなムベ(郁子)の花が咲き始めています。
ムベ(郁子)の花
近江八幡市内でムベの花を見られる場所を2ヶ所紹介します。その前に「むべなるかな」という言葉と近江八幡の繋がりを説明します。
「むべ」の語源となった伝説は、滋賀県近江八幡市北津田町の出来事にあります。
「むべなるかな」の言われ
天智天皇が蒲生野に狩りに出かけられた時、今の北津田町に立ち寄られ、八人の男児を持つ健康な老夫婦に出会います。
その際に「汝ら如何に斯く長寿ぞ」と尋ねられ、老夫婦は「この地にこの様な果実を産します」と言ってムベの果実を食するからと答えた。賞味した天皇が「むべ(宜)なるかな」と得心し、「斯くの如き霊果は例年貢進せよ」と命じたということです。
その時からこの果実をムベ(郁子)と呼ぶようになったそうです。以降、献上は1982年まで続き、朝廷や幕府からの恩典も受けていたようです。
献上は一旦途絶えたものの、近年になって復活ています。毎年秋に皇室に献上されるとともに、天智天皇が祀られている近江神宮への献納も続けられています。
大嶋奥津嶋神社
北津田町にある大嶋奥津嶋神社(オオシマオクツシマ神社)です。大嶋神社と奥津嶋神社の両社から成っています。
右の石柱にも2社が並んで書かれてます。
地図はこちら。近江八幡市の北部、島学区です。この奥の山には自生のムベが多くあるようです。「むべなるかな」の伝説の地域。
石碑とムベを絡ませた棚が作ってあります。石碑には、1878年に明治天皇が北陸に巡幸した折、当時の滋賀県令がムベを献上し「大君にささけしむべは古き代のためしをしたふ民のまこころ」と詠んだ歌が刻んであります。
ムベの花が咲き始めてました。あまり目立たないですが、白くて可憐な花です。
JR近江八幡駅南口
ムベの花が見られるもう一カ所は、JR近江八幡駅です。北津田町は遠いですが、ここであれば駅で訪れた人に見てもらえます。ただし、観光客の多くが進む北口ではなく、南口にあります。イオンがある方です。
少し前に、JR近江八幡駅の南口に新しいオブジェが誕生しました。
かなり謎な形をしたオブジェですが、囲うように作られている棚に植えられているのが「ムベ」です。
こちらも花が咲き始めていました。
隣には「ムベ」の由来について書かれた説明書きも置かれています。ムベ自体は随分前から植えられていたようです。南口はあまり行かないので、全く気が付きませんでした。
むべ狩り・特産品の紹介
なかなか見ることのないムベの花ですが、秋になると赤紫の実を付けます。そんなムベを使った特産品がいくつかあるので紹介です。
「長寿うむべ」というのは、むべをリキュールに仕上げたものです。他には、飴やワインも。「むべソーダ」もあります。
販売元は、北津田町にある「前出のむべ家(まえでのむべや)」【前出酒店】です。
販売しているお店はあまり多くないと思いますが、記憶をたどると八幡堀にある「Gallery Space 新町浜」で売っていると思います。手こぎ和舟もしている店です。
そして、秋になって忘れてなければ改めて詳細を紹介しますが「むべ狩り」もあります。ちょっと珍しくないですか?
- 期間:10月中旬~11月末
- 時間:10:00~15:00
- 入場料:大人1000円(中学生以上)、子ども500円(小学生未満無料)
※「むべ」1kgを含む - 販売:500円/1kg(入園料に含まれる1kgを超えた分)
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